2016年御翼6月号その1

箴言から学ぶ三つの良い妻の条件―― 良い妻が良い母

 

 良い母であるためには、どうすればよいのか。知恵の書である箴言には、意外なことに、良い母親の条件は書かれていない。子に対して「母の教えをおろそかにするな」(箴言1・8)とは書いてある。その代わり、箴言31・10?31に、良き妻についての条件が数多く書かれている。良い母親であるためには、良い妻でいることが一番なのだ。マケリゴット宣教師は、小中学校のPTAから、「親子関係、子育てについて話してください」とよく依頼された。先生はその都度、「家庭が祝福される秘訣は親子関係ではなく、夫婦関係にあります。ですから夫婦関係について話してから、親子関係について話します」と答えていた。よい夫婦関係を見ながら育っていく子どもは祝福されるのだ。

良い妻となるための3つの条件 箴言より
一.信頼されること。
  箴言31・11「夫は心から彼女を信頼している。」
 男性は、自分の夢や心の傷を打ち明けることのできる人が必要である。自分の夢をどう実現しようか、問題をどう解決しようかという話に耳を傾けてくれることを女性に求める。妻は夫にとって、身も心もさらけ出すことのできる相手となる。妻として大切なことは、信仰によって大丈夫なのだと確信し、夫をその夢、希望の実現のために励ますことである。夫の夢を妻が押し潰すようでは、結婚は暗礁に向かっている。一方、自分の自信を満たす前向きな考え方の妻を捨てる夫はいない。

二.内面からの輝きを持つ。
  箴言31・25「力と気品をまとい、未来にほほえみかける。」
 南カリフォルニアの有名なクリスチャンの眼科医ロバート・ナル先生はこう言う。「私は何千人ものご婦人方の目をみて来ました。私は目を見ただけで、キリストがその人の心にいらっしゃるかどうかわかるのです。これは本当ですよ」キリストにあって生きる女性の瞳は、きらきらと輝く。幸福なしわが目のまわりに出るかも知れないが、眼球にしわがよることは絶対にない。80歳でも90歳でも、10代のように輝く瞳を持っている。
三.夫の良心となる。 
  箴言31・26「口を開いて知恵の言葉を語り 
  慈しみの教えを その舌にのせる。」
 男性は女性が自分の生活の、そして、社会の良心であって欲しいと願っている。妻は夫の良心である時、夫は妻を深く尊敬することになる。良心となるといっても、それは、妻が、その夫を変えたり改心させたりするという意味ではない。妻は夫に、助言したり、優しく間違いを正す心を持ち続けなければならない。妻が「理想の象徴」でなくなった時に、全社会の堕落が始まるのだ。

 男性は、これら女性の素晴らしさを真剣に受け止め、女性の持つ賜物を引き出すように配慮する責任と特権がある。
 ベンジャミン・ウォーフィールド(1851-1921)はアメリカの有名な神学者で、プリンストン神学校の学長に二回も任ぜられた。彼は若い日に、教会で結婚式を挙げ、皆に祝福されて馬車に乗り、新婚旅行に出かけようとした。先に新妻を馬車に乗せ、次に彼が乗ろうとした時、突然馬が暴れ出した。馬車はひっくり返り、妻が投げ出された。彼女は、馬に腰椎(ようつい)を強く蹴られ下半身不随になってしまう。友人の中には気の毒に思って、ベンジャミンに、「離婚して出直したら」と言う者がいた。しかし、彼は強く否定して「神のみ前に生涯、苦楽を共にすると誓い合ったのです。そんなことは絶対にできません。私は一生彼女を愛し続けて行くつもりです」と言う。そして、彼は妻のために大きな乳母車のようなものを作って、それに乗せて、どこへでも連れて行った。研究室でも、いつも側にいる聡明な妻の助言を求め、彼は多くの著作や論文を書いたという。 
 互いの最善を引き出すことが、最高の結婚である。このような夫婦になることが、良い親になる条件である。

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